AWSのLightsailは、 よく使われるEC2より、シンプルな料金体系で、比較的コンパクトなサーバ運用に向いているAWSのサービスの一つです。サービス開始されてから4年ほどたっているのですが、今回、初めて使ってみました。
結論から言うと、とても良いという印象です。
Lightsailが向いている用途
個人ブログ、テスト環境、小規模企業サイト、変動しすぎる使用料が望ましくない場合
Lightsailの特徴的なところ
(AWS全般の特徴と一部かぶります)
Webサーバ運営に必要な機能がワンパッケージになっている
lightsailの説明ページによると、上記のような特徴があり、Webサーバを開設するには十分な機能がありそうです。それでいて監視機能やSSDストレージ運用で、保守面やスピードでも安心できます。
料金体系がシンプル
月あたり最低$3.5(約400円)から運用ができます。あまりアクセスのない個人ブログや企業Webサイトサーバであれば必要最低限の運用から始められるのは気軽です。アクセスが増えてきたら上位のプランにアップグレードすれば大丈夫です。しかし、アップグレードの際は、何らかの形でイメージのバックアップを取って、新しい環境でリストアする作業が必要になるため、ひと手間はかかります。
また、Lightsail使用開始から3ヶ月間はLinuxプラン、Windowsプランともに最低スペックのプラン使用料(750時間/月の使用時間分)が無料です。
サーバアプリケーション環境入りのインスタンスイメージが利用できる
インスタンスイメージとは、そのサーバ環境丸ごとのディスクイメージです。
このイメージには、素のOSだけが入っているもの、またはWordpressなどのWebアプリケーションが入っているものなど、多様なインスタンスイメージから初期的にインストールされる環境を選べます。
Amazon Lightsail インスタンスのイメージの選択
具体的には、Ubuntu、CentOS、Amazon Linux、Windows ServerなどのOS、WordpressやDrupalなどのCMSまで入っているイメージなど様々あります。例えばWordpressのイメージは、データベースの設定からすべて設定済みで提供されていますので、ユーザーは固定IPアドレスにWebブラウザでアクセスするだけで、すぐにWordpressの管理画面に行くことができます。(Wordpressのパスワード設定などは別ページに記します。)
データベースを全く意識する必要がないというのは、サーバ管理者が不在の環境でもとりあえず運用できる点で、優れていると思いました。
VPSである
上記のように、Wordpressのインストールまでほぼマウスクリックのみで済んでしまう手軽さでありながら、実態はVPS(Virtual Private Server、仮想専用サーバー)です。そのため、SSHでログインして別なサーバアプリケーションを入れたり、ファイアウォールの管理もできるので、適切なポートの開閉やアクセス元の制限など、状況に応じた設定が可能です。
他のレンタルサーバでもシェルログインができるWebサーバサービスはありますが、基本的にアプリのインストールには制限があったりするため、自由度はやや下がります。つまり、表面的には簡便さの特徴を持ちつつ、柔軟な設定もできる二面性があるところが優れています。
それなりに速い
ある有名なレンタルサーバとの体感比較ですが、同じようなWordpressの運用をしても、レスポンスが速い、と感じます。
あくまで比較対象が「レンタルサーバ」なので、VPSではなく、何年か前に契約しているものであるなどの点から純粋な比較ではないのですが、Wordpressの管理画面でのレスポンスも含めてきびきびと反応します。極端かもしれませんが、10倍くらいの感覚で速いです。
もしこのLightsailでも遅くなってきたと感じたら、Lightsail内でアップグレードの検討をすればよいでしょう。
デメリット
用語が難しいかもしれない
国内レンタルサーバは、比較的国内で使われる技術用語をさらに平易にしてサービスを提供しているように思います。一方、AWS全般も含めてLightsailは技術用語がダイレクトに翻訳されて表示されるので、専門的な人でない場合、理解が難しいかもしれません。
ドメイン名の設定がやや難しい
AWSのRoute53に操作に慣れていれば楽なのかもしれません。個人的なことかもしれませんが、いつも操作に悩みます。
管理UIがAWSから独立していて独自
独立している分、他の機能と干渉せずに管理できる明快さがある反面、新たなUIに慣れる必要があります。また、国内レンタルサーバなどでは、ドメイン設定やサーバの設定などもブラウザ上のコントロールパネルからかなり親切なUIで操作できますが、LightsailのUIは、EC2より簡素化されている分簡便ではありますが、上記の技術用語のダイレクトさもあって、初心者には難しいところがあるかもしれません。しかし、ユーザ数の多いAWSに慣れておくことは、活用範囲が広がるので、この際覚えてしまうというのが良いのでしょう。
まとめ
特徴のところに書いた、速いというのは結構メリットであると感じています。レスポンスが良いと作りこみのストレスが減るので、生産性が上がります。ある程度知識があって運用する分には、小規模向けにとても良いサーバだと思いました。
また、料金も手軽なうえに、自由度が高いので、他でいくつか借りているサーバの移転も検討したくなります。